還暦からの資産運用

リスクを抑えて効率的な運用をリアルタイムで公開

出口戦略の構築 ポートフォリオ構築編

資産運用のリターンを左右する重要な考え方がアセットアロケーションです。

保有する金融資産から安定して資産所得を獲得するためには、値動きの異なる複数の資産クラスを組み合わせて運用するポートフォリオ運用を行うことが重要であると考えています。その際、複数の資産クラスの組み合わせはアセットアロケーション理論に基づいて決定します。アセットアロケーションで運用資産のリターンの80%が説明できると言われています。

アセットアロケーションを行う際には一般に各資産クラスの期待リターンとリスクを算出し、それぞれの相関係数を加味し取り得るリスク許容度の中で最大の効用を得るための最適な資産配分比率を算出しますが、資産ごとの期待リターンとリスクは計測する期間によって無限の組み合わせが存在します。機関投資家がどんなにコストをかけて計測してもその結果が最適かどうか評価されるには何年もの時間がかかります。

予測を精緻にしても確度が高まるとは限らないので、アセットアロケーションヴァンガード社のターゲットイヤーファンドの数値を基本に置き、中長期のアセットアロケーションとしています。図は2026年~2030年引退ファンドのアセットアロケーションとなります。株式の比率は(100-年齢)の説もよく聞きますが、50歳で50%、60歳で40%となりヴァンガード社の株式比率とは大きく乖離してきます。判断能力のあるうちはヴァンガード社の比率でも問題なさそうです。

アセットアロケーションで算出された配分にそって各資産へ資金配分を行います。その際、各資産のインデックスを組み入れればポートフォリオの期待リターンとリスクはアセットアロケーション策定の際の数字となります。長期的に資産形成を行う際には、適正な配分比率で低コストの各資産のインデックスを保有することは複利で資産増大を期待できる再現性の高い最良の運用手法だと思います。

資産を取り崩す際にはいわゆる4%ルールで取り崩していきますが、取り崩し時の価格変動リスクを極力少なくするために、定期売却の回数・金額を減らすことは運用期間が短い還暦からの資産運用を行う上では重要だと思われます。そのために配当による資金分配を定期的に受領することを意識しています。受領した資金が目先不要であれば、受領時点で新たに商品選択をして再投資することも可能です。

米国株式では、高配当のETFが豊富ですが、日経では数年前までは存在していませんでした。そのため、日本株式は個別株式を分散投資することで高配当株式投資を行っています。個別株式に分散投資する際には、景気局面や金利動向などを考慮してセクター選好しています。米国株式の高配当ETFは投資対象が成熟企業が多く、最近のNasdaqなどに比しパフォーマンスが劣後する可能性があります。そのため、米国株式ではテーマを絞って個別銘柄に分散投資を行っています。